「得意で楽しいことを仕事にするのがいいと思うんだ」と話すと、たいてい返ってくる言葉。
それが「そうはいっても、お金も必要だから…」です。
これは、わかるような気がするし、わからないような気もする。
そもそも「楽しいと思うことではお金を得られない」という前提がありそうだし、いろいろ気になるところはある。
でも、わたしが一番気になったのは「そんなに必要だと思われている、“お金” とは…?」という超根本の部分でした。
それを考えてみようと思って、コチラの本を読みました。
わたしたちと同じく「お金」が存在する世界に生きる主人公が、「お金」という概念のない世界に迷い込んでしまうという、短めの物語です。
この中で出てきた言葉をきっかけに、考えてみたいと思います。
お金って何? 自分はどう捉える?
「少なくとも私は、お金というものは知りませんし、聞いたこともありません。それはいったい、どんな物なのですか?」
(本書p29より引用、協調追記)
「お金」を知らない国の人が、主人公に質問するシーン。
自分だったら、どう答えますか?
わたしは率直に言って、言葉にするのがすごく難しいな、と感じました。
それだけ日常の中では「お金」を無意識的に扱っていて、ただ稼ぐもの、払うもの、渡すものと考えているだけなのかもしれません。
過去に読んだ本から言葉を借りると、
「価値」という漠然としたものをうまくやりとりするためであり、お金には価値の保存・尺度・交換の役割がある
(お金2.0(NewsPicks Book)より引用、強調追記)
お金はこういう役割を持っています。
お金を媒介してやりとりすることで曖昧になってしまっているけど、本来は自分の提供した価値と何かを交換するための媒介ツールという感じでしょうか。
もしそうだとしたら、目的なしに「たくさん欲しい」と思うのもおかしいし、お金は汚いとか、お金のことを考えるのは卑しいとか、それも変な話だなと感じます。
お金を抜きにして考えることで、見えてくる本質的なもの
私が思うには、あなたは、そのお金というものと、働くということをかたく結びつけて考え過ぎている気がします
(本書p31より引用、強調追記)
「お金のために働く」ことがすべて悪だとは、わたしは思わないのだけど、でも、ただお金を得るために働くのはちょっと違和感があります。
お金を得た先のことの方が、重要じゃないか?と感じているからかもしれません。
この本の中で、「お金」という概念がない国の人は、こう述べています。
仕事は社会への奉仕ですから、世のため、人のため、ひいては自分のために、みんなで働かなければ世の中は回っていきません。
(本書p31より引用、強調追記)
ここにちゃんと「自分のため」も入ってて良かったな、と、少し安心しました。完全に世のためでは、なんだか現実的でない理想論のように感じてしまうし。
個人的には「仕事=自分が得意なことで誰かの役に立つこと」だと思っていて、その代わり自分が苦手なことは、それが得意な誰かに助けてもらっていいと思ってます。
わたしは書くのが得意だから書く仕事をしているし、買い物や料理は苦手だからネットスーパーや飲食店に助けてもらってる、みたいな。
「お金」というものを取っ払って考えると、とてもシンプルな構図が浮き上がってきます。
お金が必要な世界で暮らすわたしたちは、どうすれば?
とはいえ、わたしたちが生きる世界はお金を中心に周っている「資本主義社会」であり、急にこの本の世界のように「お金をなくそう!」なんてことはできない。(未来はわからないけど)
じゃあ、どうすれば……?
その一つとして、やっぱり「お金とは」を、それぞれがちゃんと考えるのがいいのかもしれないと思いました。
過度にお金に固執して「もっとお金がないといけない」と思ったり、逆に「お金にこだわるなんて汚い」と思ったりする前に、
- お金とは、自分にとって何なのか?
- 仕事とは、本当にお金を得るだけの手段なのか?
考えるのがいいのかもしれないな、と。
答えを期待して読んでくださった方には申し訳ないけれども、取ってつけたような答えを書くのは嫌だし、そもそもコレに対する答えがあるのかは、ちょっとわからない。
でも、自分なりの「こう思う」を持つことは大事だと思っているので、わたしはもっと深く考えていきたいです。
おまけ
記事中で引用してきた『お金のいらない国』と、同時期に読んでいた糸井重里さんの対談本『お金をちゃんと考えることから逃げまわっていたぼくらへ (PHP文庫)』に、似たようなフレーズがあったのが興味深かったです。
報酬を目的にしていると、必ずどこかにゆがみが生じてきます。
(お金のいらない国p37より引用)
糸井 何かをするときの基準がお金のところだけに集中していたら、きっと間違いをおこすだろうなあと思います。
(お金をちゃんと考えることから逃げまわっていたぼくらへ (PHP文庫)p231より引用)
社会がお金を中心に周っているから、お金を手に入れることがすべてだと考えてしまいがちだけれど、もっと広い視野で見られる自分でいたいなと感じました。
さいごに、『お金のいらない国』の中で最も印象的だった箇所を引用します。先ほどの「報酬を目的にしていると、必ずどこかにゆがみが生じてきます」の続きです。
「自分の行った仕事以上の報酬を得ようとしたり、必要のない仕事を無理に作って、自分の利益だけは確保しようとする動きが出てくるでしょう。
そうなると、完全な競争社会になります。
それもお互いの向上を目的としたものではない、単なる足の引っ張り合いになるはずです」
(お金のいらない国p37より引用)
ここについては、もっとじっくりと、自分の中で考えてみたいなと思ってます。
ちなみに、今回ご紹介したコチラの本。
興味を持ったきっかけは、ZOZOTOWNの前澤社長がこちらの記事にて紹介していたことでした。
本自体は短いし、Amazonはなぜか到着に1週間ぐらいかかる&楽天は在庫切れ(記事執筆時点)なんですけど、とてもおもしろかったのでおすすめです。
ちなみに、続き物のようで、4巻まで発行されています。わたしも2巻の到着待ちです!(これもなぜか1週間待ち)
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