なんで人は格付けしたがるんだろう。
ネット上では「自分の方が上だ」という主張が横行しているし、テレビでも格付け番組がしょっちゅうやってます。
上下を決めることはわかりやすくておもしろいし、エンターテインメントとしてワクワクしたりもする。
でも、それを真に受けている人がいたとしたら、格付けし合うことの本音は「安心したい」というものなのかもしれない。
数値基準に囚われてしまう
私たちは幼少期から「空気を読むこと」を教えられる一方で、なぜかそれとは相反する「格付けし合うこと」も教えられてきました。
受験戦争なんていうのはその象徴で、偏差値という側面だけによってランキングされます。
かく言う私もやはり偏差値を基準に高校や大学を選び、当時から意識が高かったので、常に自分より上の場所を目指してきました。
数値は客観的に判断できる材料だし、必要だとは思います。
必要だとは思うのだけれど、すべてをその数値で判断してしまうことには疑問を持ちます。
学歴競争においては、一部の人は偏差値を見ただけで、あたかもその人のすべてを決めつけるようなことがあるのも事実です。
それは高学歴と言われる人だけでなくて、逆に学歴にコンプレックスを持った人にも見られます。
今は偏差値を一例として挙げただけで、こういった数値基準の考え方は他にもたくさんあります。人事評価とか、年収とか、SNSのフォロワー数とか。
人は「誰かから評価されるために生きているワケではない」と思っていても、少し気を抜くとこういった数値から物事を判断するようなスパイラルに陥ってしまうんです。
自分の立ち位置が見える安心感
数値化することで、自分の立ち位置を客観的に見ることができます。
数ヶ月前の私は、こんなブログを書いていました。
「8月発表のランサーズ報酬額ランキングの結果と、初心者の頃の報酬額の話」
ライターとしてお仕事をもらうために利用している「ランサーズ」では、ライティング部門での報酬ランキングが発表されます。
報酬ランキングですから完全なる相対評価であり、その月の各ライターの報酬額を比較して順位付けしたものです。
過去記事に書いてあるとおりですが、私はランクインしたことを「嬉しい」と思いました。
家で1人で仕事をしていますから、自分のランサーズの中での立ち位置が見えたことに安心したんです。
でもまあよくよく考えたら変な話で、私は自分が楽しく生きれる程度のお金を稼げていれば十分だし、その報酬額が他者と比較してどうだったかを知ったところで何か変わるワケではないのに、「嬉しい」と思ったんですよね。
前述のとおり数値で自分の立ち位置が見えることで、モチベーションを保ちやすくなるのは事実です。目標は数値化することで達成しやすくなるので、それ自体は良いことだと思ってるし、私も目標は数値で設定します。
ただ、ランクインしたこと自体が「嬉しい」というのは不思議な感覚だなと、過去の自分を振り返って思ったのです。
自分自身が喜んだ背景には、「他社から評価されることの嬉しさ」があったのだと思います。
私たちは何かの数値を達成するために生きているワケじゃない
「数値基準の考え方」と「他社との比較」は、やっぱり隣り合わせにあるものだと思います。
客観的に、相対的に考えるために数値があるのであって、自分と他人の数値がわかれば、どうしても比べることができてしまうからです。
先ほどの記事のとおり、最初はランキングにランクインできたことを純粋に喜んだ私も、数ヶ月経つうちにそれを純粋に喜べなくなっていたように思います。
最初は純粋な気持ちで過去の自分と今の自分の数値を比べていたとしても、「数値基準の考え方」の負の側面に引き込まれていく感覚があったからです。
自分の気持ちの変化に気付いた私は、自分のランキングについて考えることをやめました。自分は人間としてまだまだ未熟だからこそ、順位について考えることが自分に良い影響を及ぼさないと感じたからです。
実際のところ数値目標って、短期目標でしかないはずなんですよ。
人生の目標が数値化されているとしたら、それはたぶんウソで、本当の気持ちは違うところにあるはず。
他者に認めてもらうには数値が手っ取り早いんだけど、自分が自分を認めるためのプロセスは数値とは別にある。
私たちは、何かの数値を達成するために生きているワケじゃない。
だからもし数値に囚われて、いつの間にか他者評価を気にするような毎日を送ってしまっているとしたら、それは人生の本質とは何ら関係のないことだと思い出してみよう。
これまで何十年も数値による比較の世界に生きてきてしまった場合、その考え方が明日から急に変わるなんてことは無くて、ちょっとずつ、ちょっとずつ軌道修正すれば良い。
生きていれば数値による他者からの格付けを避けることはできません。仕事での評価もあれば、年齢だったり、年収とか、なんでも比較できてしまうから。
それはそれとして、数値は数値。自分の人生の本質とは関係ない。そう思えると、ちょっと心が軽くなると思います。
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