値段を決めるのって、難しい…。
フリーランスだと自分の金額を自分で決めなければならず、そういうのが苦手なわたしは、いろんな本を読んで勉強しています。
最近読んだ本の中で「お、これはわかりやすいぞ」というのがあったので、紹介しつつ考えを深めてみたいと思います!
「自分だけ得したい」と思わせるスイッチを押さない
今回考えるベースとなるのが『ゆっくり、いそげ ~カフェからはじめる人を手段化しない経済~』という本。
カフェを経営している人が、カフェ以外にも通じるような書き方で、小さな経済圏について書いています。
その中でも興味深かったのが、人には以下の2種類の人格があるということ。
- 消費者的人格:同じだけ支払うなら、できるだけ多くを手に入れようとする
- 受贈者的人格:支払った金額よりいいものを受け取ったと感じて、お返ししたい気持ちになる
これは「こういう2種類の人間が世の中にはいますよ」という話ではないんだそう。
世に「消費者的な人」と「受贈者的な人」とがいるわけではないということだ。(中略)きっとあらゆる人の中に両方の人格が存在し、時と状況によってそれぞれが発現するのだ。
(本書P54より、強調追加)
一人ひとりの中に、両方の人格があって、伝え方・表現方法・価格設定によって、どちらかの人格が引き出されると言います。
例えばカフェの場合、ポイントカードやクーポンなど、お客さんにとってお得になるような仕掛けをしてしまうと、お客さんの「消費者的人格」を刺激してしまって、その結果…
- クーポンがないと行かない
- クーポンなしだと高いと感じる
- 「おひとつどうぞ」と好意で置かれている無料のお菓子(本書のカフェではクルミ)を複数食べる
など、できるだけ安く、できるだけ多くのものを手に入れたいと思わせてしまう、と。
これってカフェだけじゃなく、フリーランスも同じかもしれません。
「競合より安く」という金額設定だと「下請けとしてコキ使おう」と思われてしまうかもしれない(言い方悪いけど…)。
あと、「もう少し安く」と値切ってくるクライアントさんも同じ感じかな…。
企業側にも予算があって、出費を抑えたい気持ちはもちろんわかりますが、何かをつくるためにフリーランスに外注しているはす。
その目的達成よりも「安くすませること」が第一になってしまっている相手とは、良いお付き合いができないだろうなと感じます。
こちらから先に贈り物を
じゃあ、安売りしない金額を設定したにも関わらず「わぁ、いい仕事してもらっちゃったな」と思ってもらうにはどうしたらいいのかな?というところですが、、、
フラットな状態で出会い、まずこちらから「贈り物」をすることが重要だそう。
もちろんこの「贈り物」は、割引やおまけのプレゼントなどといったことではなく、カフェであれば接客や味、ライターであればコミュニケーションの円滑さや記事のクオリティだと思います。
よく言われている「相手の期待を上回る仕事をする」っていうのと、ほぼ同じことなんじゃないかな。
もし、相手に「贈り物を受け取った」と感じてもらえたなら、きっと「お返ししたい」と思うから、新しい仕事の依頼や紹介に繋がっていくはず。
ただ、「贈り物を受け取った」と感じてもらうためには、「払った金額よりも、高い価値を受け取っちゃったな」と思ってもらうということが大事です。
この本の中では、投げ銭システムで開催したコンサートの事例が書いてありました。ちょっと長いですけど、引用しますね。
例えば「定価」1500円のコンサートでいい時間を過ごした後、そこに金額以上の価値をお客さんが感じていれば、それは帰り道の余韻につながり、先ほどの言葉でいえば前向きな「負債感」となって、次回の参加動機や口コミなどへとつながっていくこともある。
ただ毎回そこで、プラス500円(人によってはそれ以上)を支払ってしまう(※投げ銭してしまう)とすれば、そうした気持ちは都度、精算される。
(本書P61より、注釈強調は追記)
相手の消費者的人格を刺激しない。
必ず「贈り物」を渡せるようにする。
お仕事や販売するものの金額設定をする時、意識したいことだなと思いました。
依頼をもらう段階から「贈る」を意識する
と、ここまで考えてきて思ったのが「贈り物」は一緒に仕事をし始めてからしかできないんだろうか?ということ。
当たり前だけど、クライアントさんは自分の過去記事やお問い合わせページの実績、価格表を見て依頼をくれます。(ライターの場合)
だから、もうココから「贈る」を意識して設計できないかな?と。
もう少し噛み砕いて言えば、こんなこと。
- 公開される記事が「贈り物」になるよう、ひとつひとつの仕事を全力で
- 実績や経歴が魅力的になるように工夫する(そういう実績を積む&表現方法)
- 依頼を検討する時点で「贈り物」をもらったように感じてもらう
もう、そもそも、過去執筆記事やブログ・SNSでの発信、お問い合わせページ自体を、まだ見ぬクライアントさんへの贈り物にできていればいいのかな、と。
それは丁寧さであったり、有益な情報であったり、ポジティブな印象であったり、相手によって異なるとは思う。
(そしてもちろん、それらはまず読者への贈り物であるのだけど)
そんなこんなで、プロフィールは定期的に見直してるけど、もうちょっとそういう視点で考えてみたいなと思ったのでした!
今回読んだ本はこちら。「ビジネス」とか「戦略」とかそういうギラギラしたのが苦手な人(わたしだw)に、おすすめです。
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