DeNAのキュレーションサイトから始まった一連の騒動で、キュレーションサイトのブラックな実態がようやく世間に知れ渡ったように思います。
そしてこの問題に大きく関わってしまったクラウドソーシングという仕組みも、思いもよらぬ形で世間に広がってしまいました。
クラウドソーシングを使っているWebライターである私がいま思うことを、まとめておこうと思います。
構造的に悪の温床になりやすかったキュレーション
まずはこの一連の騒動に関するニュースを3つご紹介します。
- 「大きな間違いだった」 DeNA守安社長が“WELQ問題”謝罪 「iemo」など8メディアも非公開に(ITmediaニュース)
- DeNA運営「WELQ」の発注先だったクラウドソーシング、大手2社の対応は?(CNET Japan)
- 「NAVERまとめ」が新方針 “キュレーションサイト問題”受け「まとめ作成者の信頼ランク」採用へ(ITmediaニュース)
信憑性やその内容の問題を受けて、キュレーションサイトという形式の見直しにつながったこの問題。
Webが大きく変わるきっかけとなる出来事だと思います。
これまで疑問に思っていたことがようやく明るみに出て、「これはマズいよね」という認識が広まったことを嬉しく思っています。
その一方で、自分も使っているクラウドソーシングという仕組みが、こういう形でニュースになってしまったことにも、正直に言えばショックを受けています。
わたしはクラウドソーシングを使ってWebライティングというものを知り、ライターの道を歩み始めました。
また、クラウドソーシングを使い始めた頃には、キュレーションサイトの案件を受けたこともありました。
どちらも経験している立場から、考察してみます。
ブラックなキュレーション案件
かなり前のことですが、旅行キュレーションサイトからPR記事の依頼を受けたことがあります。
キュレーション記事ではないのでアレですが、依頼をもらう過程でキュレーション記事の発注方法も見てきました。
発注方法は、こんな感じ。
- スプレッドシートでテーマを一覧にして「書ける人書いて~!」という感じ
- 1記事は文字単価にしたら0.5円とか
- 写真は基本ツイッターやインスタから引用
- 取材や事実確認などはおこなっておらず、ネット上の情報をまとめる
こんな感じでつくられた記事が、何万、何十万というPV数を稼ぐのです。
しかもこういう案件はクラウドソーシングで募集されていました。
まだライターとして駆け出しだったわたしは
「ああ、Webってこんな感じでつくられた記事が蔓延しているんだ……」
と、かなりのショックを受けたのを覚えています。
キュレーション自体が「悪」なワケではない
キュレーションサイトが持つ「ゼロからイチを生み出すのではなく、10をまとめてイチにする」という性質上、盗用・やりすぎた引用などの温床になりやすいのは事実です。
そしてそれを容認するような運営側の態度と、悪いことだと気付かないキュレーター側のリテラシーにも問題がありました。
しかし、キュレーションサイトというジャンル自体は、悪いものではないとわたしは思っています。
何か情報を探す時には「まとめ」がとっても便利だし、わたしも見ることがあります。
また、わたしが以前キュレーション記事を受注したことのあるサイトは、写真を盗用したりせず、経験に基づいて書くことのできるサイトでした。
単価は高くなかったのですが、こういうキュレーションサイトもあるのです。
「写真を盗用しない」というのは、他サイトやSNSから無断で写真を借りたりしないということです。
そのサイトでは、自社内の写真ストックや、フリー素材、フォトストックの写真を使っていました。
正しい手順を踏んだキュレーションサイトでしたが、わたしは今年に入ってから受けるのをやめました。
ライターになりたいのなら、キュレーターで居続けてはいけないのです。
そのあたりはコチラの記事で。
⇒ライターとして生活するためにキュレーションサイトのキュレーターを卒業したワケ
環境に依存してはいけないし、あくまで手段だということを意識する
いまのところ、クラウドソーシングは「Webライターになりたい人のためのファーストステップ」というイメージが強いと思います。
もちろん、クラウドソーシングで獲得した依頼だけで食べていける人もいます。
でも、きっとそういう人は一握りで、多くのユーザーはそうではないのでしょう。
例えばランサーズであれば、手取り月収20万円前後で、ライター報酬ランキングTOP100に入れるのです。
たぶんクラウドソーシングだけを使って生計を立てられるような人は、クラウドソーシング以外でも稼ぐことができると思います。
クラウドソーシングは結局求人サイトみたいなもんですから、ビジネスセンスなしにちゃんと稼ぐことは難しいんです。
クラウドソーシングは地雷案件しかないとか言っちゃう人は、「自分はビジネスセンスありません!」って宣言してるのと同じだから、そこんとこよろしく!
— マツオカミキ*フリーライター (@matsuo_mk) 2016年11月26日
わたしはランサーズのおかげでWebライティングを知り、ライターとして生計を立てられるまでになりました。
だからクラウドソーシングという仕組みは本当にありがたいと思っているし、今後も活用できる人が増えるよう、自分なりに動いていくつもりです。
でも、忘れてはいけないことがあります。
クラウドソーシングに依存してはいけないということです。
これは「クラウドソーシングだけでなく他の仕事もどんどんチャレンジするべき」という意味も含みますが、どちらかというと「クラウドソーシングの運営側に依存しないように」という意味合いです。
クラウドソーシングの案件の平均単価が低いのは、運営側だけのせいでしょうか?
ブラックなキュレーション案件がなくならなかったのは、運営側だけのせいでしょうか?
違います。そういう案件を受ける人がいなくならなかったからです。
依存してはいけません。
クラウドソーシングでちゃんと稼ぎたいのなら、ユーザー側も努力する必要があります。
※過去記事参照:ランサーズ案件全体の単価底上げに必要なものとは
またクラウドソーシングは手段の1つであり、今回の問題でWebライティングが初心者にとって参入しにくいものになってしまったとしても、これからWebライターを始めたいと思っている人には道がたくさんあるはずです。
手段は1つではありませんし、誰かのせいにしてはいけません。
ライターという職業は「文章のプロ」であるべき
初心者であれ、ベテランであれ、ライターと名乗るなら「文章のプロ」であるべきです。
文章のプロというのは、こだわりと責任をもって文を書く人のことです。
こだわりと責任に、経験年数は関係ありません。
なんかさ、適当につくったもの出しちゃう人に対して「自分もその記事読みたいと本当に思うの?」って聞きたい。自分が欲しいと思えたり、納得できるようなものをつくるのが、つくる人の喜びかな~って。前職は文房具メーカーだったけど、開発者は「本当にコレ良い!」という思いで開発してたよ。
— マツオカミキ*フリーライター (@matsuo_mk) 2016年12月2日
自分が責任を持って、そして自信を持って「コレ、わたしが書きました!」と言える文章を書く。
もちろんそれは記名記事であっても、無記名記事であっても。
DeNAのキュレーションサイトの実態が今回明るみに出たことで、Web上にあふれる情報の精度が上がる流れになれば良いなと思っています。
そういう流れを希望すると同時に、自分もその流れをつくる人々の1人でありたいと思ってます。
わたしが初期にクラウドソーシングの案件を見て感じた
「Webってこんなに信憑性のない記事があふれてるんだ……」
という絶望にも似た気持ちを、これ以上増やしたくありません。
本当にその記事、自分も読みたいと思える?
責任を持って発信できる?
「Webだから良いや」って思ってない?
基本的なことですが、文章のプロであり続けるために、ココは絶対に妥協してはいけないところです。
わたしもまだまだ3年目でこれからという気持ちですが、「文章のプロ」であり続けるために今後もしっかりと意識をしていきたいと思います。
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