『キンコン西野の絵本無料公開』について、クリエイターが思うこと

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自分が有料で買ったものが無料化された時、どう思いますか?

最近ライターとして有料コンテンツを販売し始めるにあたって、「有料と無料」について考えていました。

そんな時にお笑い芸人で絵本作家のキングコング西野さんが絵本を無料公開するという事案に出会いました。

キンコン西野による絵本無料公開の衝撃

1月19日、こんな記事が流れてきました。

※参考:お金の奴隷解放宣言。│キングコング西野公式ブログ

西野さんといえば、何かと炎上しがちなお笑い芸人兼絵本作家です。

ブログの内容としては、「昨年発売した絵本をネット上で無料公開します」という趣旨でした。

これに、わたしは衝撃を受けました。

わたし自身もライターとして文章を生み出し、それをお金にしている立場。「有料と無料」について思うところはあります。

ただ、賛成とか反対とかそういう感情は持ちませんでした。正しいか正しくないかなんて、わからないし。世間では賛否あるようだけど。

ちなみにその西野さんの絵本『えんとつ町のプペル』の存在は発売当時から知っていました。「読んでみたいな」と思っていたにも関わらず、まだ読んだことはありませんでした。

ということで、この機会に読んでみました。

※参考:大ヒット中の絵本『えんとつ町のプペル』を全ページ無料公開します(キンコン西野)│Spotlight

「大人にも響きそうだ」と思うような内容です。わたしは好き。

有料で販売していた絵本を無料公開することがなんやかんや言われているけど、これって別に新しいことじゃないんですよ。

わたしが学生時代にインターンをしていた会社も、絵本を無料公開しています。

試し読みが購買行動につながる

「絵本ナビ」という会社では、絵本を全ページ無料公開しています。

※参考:絵本が全ページ1回だけ試し読みできます│絵本ナビ

無料会員登録するだけで、1,895点の作品が読めるんです。(2017年1月21日時点)

わたしはコレを素晴らしいサービスだと思っています。ネットで絵本を買う時に中身が見えないと買いづらいし。

試し読みで1回読み終わっても「手元に置いておきたい!」とか「子どもに何度も読んでほしい!」と思えば、購入します。

絵本の場合は「繰り返し読む」とか「紙をめくって読む」とか、そういう体験も含めて読書です。

キングコング西野さんの『えんとつ町のプペル』も同じで、1回無料で読み終わっても「買いたい」と思う人は買うだろうし。

一方「買わなくていいや」と思う人は、そもそも無料化に関係なく買わないでしょう。

そしてわたしも1回読んで満足してしまった一人です。おそらく無料で読んでなかったとしても、お金を出して買うことはなかったでしょう。「いつか読んでみたいな」で終わりだったと思います。

お金を出した人は、無料公開されても何も思わない

お金を出して買った人で、「無料化されるなら、わざわざ買う必要なんてなかった!」と思っている人って、ほとんどいないんじゃないですかね。

これって映画とか音楽とかと、同じことだと思うんです。

映画だって、最初は映画館で有料公開して、その後DVDで有料販売して、最終的にはテレビでオンエアされたりするじゃないですか。視聴者にとっては無料です。

お金を出して見た人は「映画館で見るという体験」や「手元にあって、いつでも見れる」という価値を感じているから、そのことに対して特になにも思わないんだと思います。

音楽も同じで、CD発売前からYoutubeで公開されるなんてこともありますよね。それでも、CDを買ったりiTunesでダウンロードしたりする人がいます。

無料で聞くこと以外の価値を感じるからこそ起こる現象です。

実際キンコン西野さんの絵本の販売数も、無料化したあとに増えているみたいですしね。

※参考:『えんとつ町のプペル』を無料公開したらAmazonランキングが1位になった。

「売れる=ヒットしている」という図式の終焉

キンコン西野さんの絵本はSpotlightというメディアで無料公開されているから、たぶん西野さんにはSpotlightからお金が払われているんじゃないかと思います。

ということは、お金をもらう方向と、その見せ方を変えただけですよね。

「本当にほしいと思った人だけがお金を払って読む」という状況から、それに加えて「誰もが無料で読める」「お金はメディアから払われる」という状況に変わったのです。

西野さんとメディア、絵本が気になっていた人にとって、プラス要素しかないような気がしています。

  • 西野さん:メディアからもお金が入るし、絵本の売り上げも上がる
  • メディア側:話題になることでPV数が増える
  • 絵本を買う人:事前に中身が見れて、本当に買うべきかどうかわかる

それまで有料販売していたものを無料公開するという流れは、いろいろなところで起こっていて。

その流れについては『ヒットの崩壊 (講談社現代新書) 』という本でくわしく紹介されていたので、興味がある人はぜひ。

ここでは同書より一部分だけ紹介します。CDの売り上げが低下し、Youtubeなどで無料公開される一方で、音楽ライブ市場が上昇している流れに関する一節です。

音楽はただ「聴く」だけのものではなく、そこに「参加する」ものになっているのだ。(本書p139より引用)

ライブ市場の拡大について語る時に、まず前提となるのは「体験はコピーできない」ということだ。(本書p137より引用)

音楽は「聴く」だけのものではなく、「体験」に重点が置かるようになったのです。この流れは、絵本も書籍も映画も一緒です。

無料で発信して話題になることで、多くの人に認知されて、そこから「体験」につなげて収益化していく。

今の世の中の流れとしても、モノの消費から体験の消費に移っていると思います。

ヒットの崩壊 (講談社現代新書)』の中でもふれられているのですが、もはや「売れている=ヒットしている」という構図は現代には適用しなくて。

無料だったとしてもたくさんの人に読まれていれば、それは「ヒットしている」になりうるんですよね。

ヒットしていれば、無料公開したものとはまた別のお金の回収方法も見えてきそうです。

お金の通り道が多様化しているから、いろんなやり方があって良いと思う。

そして有料で買うことに価値があるからこそ、無料化しても有料で売れるという逆説的な現象が起きるんだろうなと思いました。

まとめ

「有料で売っていたものを、今日から無料で公開します!」

という宣言が斬新で衝撃を受けました。

しかし「この絵本は価値がないので、無料にします!」って言っているのではなく、むしろ「価値がありすぎるんで、無料化しても大丈夫です!」っていうことなんだろうなと思います。

無料と有料の議論は今後も続きそう。

ほとんどの情報がインターネットにて無料で手に入る時代だからこそ、「有料だからこその価値」を考える重要性が高まってきているなと感じました。

▼音楽業界の事例を知ることのできる『ヒットの崩壊』は、おすすめです。

 

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